アクリル板の値段を決める3つの条件
アクリル板の値段は、大きさ、厚み、そして押出板かキャスト板かの3つでほぼ決まります。
最も安い組み合わせは、小さくて薄い押出板です。2026年11月時点の通販価格では、A4とほぼ同じ220×300mmの透明板が、厚み1〜3mmで300円台から600円弱でした。

一方、畳半分ほどの600×900mmで厚みが5mm、しかもキャスト板となると、1万円を超える例もあります。同じ「アクリル板」でも、条件の組み合わせ次第で値段は数十倍に開きます。
まず頭に入れておきたいのは、「サイズが大きいほど総額は上がるが面積あたりは割安になる」「厚みが増えるほど上がるが、倍々ではない」「キャスト板は押出板の1.5〜2倍程度」という3点です。以下ではこの順に、出典のある数字で確認します。
なお、ここで挙げる価格はすべてネット通販の表示価格です。店舗や時期、送料の有無で変わるため、買う前に各社の商品ページで確かめてください。
サイズ別の値段の目安:大きいほど面積あたりは安くなる
小さい板からA4前後の価格
アクリルデポの押出・透明1.0mm板では、220×300mmが319円(税込)、450×600mmが781円、910×910mmが2,189円、1000×2000mmが4,466円でした(2026年11月閲覧)。
アクリルざんまい(直売 本店)では、同じ220×300mmの1mm厚が387円です。同じサイズでも店によって数十円の差があります。
小さい板は金額そのものが小さいため、数百円の差は誤差に見えます。ただ、複数枚を買う場合や送料が絡む場合は、合計金額で比べないと損得が分かりにくくなります。
大判になるほど割安になる理由
アクリルデポの1.0mm板の数字から、1平方メートルあたりの値段をおおまかに計算してみます。220×300mmは約4,800円、450×600mmは約2,900円、910×910mmは約2,600円、1000×2000mmは約2,200円です。最大サイズでは、最小サイズの半分以下になります。

大きな板ほど割安なのは、1枚あたりの手間や梱包の負担が面積に比例して増えないためと考えられます。ただし、必要以上に大きな板を買うと端材が出て、結局は高くつきます。
たとえば、400×300mmの板が1枚欲しいのに、安いからと910×910mmを買ったとします。残りは使い道がなく、置き場所だけ取ることになりがちです。必要な寸法に近い規格サイズを選ぶか、後述するカット込みの注文を使うほうが無駄がありません。
厚み別の値段の目安:厚いほど高いが倍々にはならない
アクリルざんまいの押出・透明、220×300mmの価格は、1mm厚が387円、2mm厚が443円、3mm厚が576円、4mm厚が741円、5mm厚が873円、8mm厚が1,353円です(税込、2026年11月閲覧)。厚みが1mmから8mmへ8倍になっても、値段は3.5倍ほどです。

300×450mmでも同じ傾向で、2mm厚が720円、3mm厚が991円、4mm厚が1,300円、5mm厚が1,571円でした。2mmから5mmへの値上がりは、約2.2倍です。
この数字から、厚みを選ぶときの考え方が見えてきます。強度が足りるか不安なとき、1ランク厚くするための追加費用は、板が小さいうちはそれほど大きくありません。薄くて割れたりたわんだりして買い直すより、最初に厚めを選ぶほうが結果的に安く済む場合があります。
なお、1〜2mmの薄い板の使い道や価格は、当サイトの別記事薄いアクリル板の選び方で詳しく説明しています。
押出板で作れる厚みには上限があります。ヒョーシンのブログでは、押出板の厚みは透明で最大20mm、白・黒では10mmまでとされています。黒の板は光沢やマットなど色の違いも絡むので、アクリル板 黒の選び方も参考になります。
押出板とキャスト板の値段の違い
キャスト板は押出板の1.5〜2倍が目安
アクリル板は、作り方によって大きく押出板とキャスト板に分かれます。ピリーと共栄化学は、キャスト板は押出板の1.5〜2倍程度の価格になることが多いと書いています。ヒョーシンは「押出板の倍くらいの価格」と書いており、倍率の書き方は少し違いますが、方向は同じです。
アクリルアイの透明アクリル板カテゴリでは、税込の価格帯が押出462〜75,900円、キャスト1,760〜54,010円、キャスト厚板4,840〜369,600円でした。幅が極端に広いのは、小さい板から大判・厚板まですべて含んでいるためです。この数字だけでは、押出とキャストのどちらが高いかは判断できません。同じサイズ・同じ厚みで比べる必要があります。
値段以外の性質の違い
はざいやや、アクリル加工屋、レーザー加工ネットの解説では、押出板は厚みが均一で価格が比較的安く、接着加工や熱成型に向くとされています。一方で、溶剤や薬剤でヒビが入りやすく、キャスト板より硬度が低いという弱点があります。

キャスト板は、彫刻した部分が白くきれいに発色し、耐薬品性に優れ、大きなサイズも製造できます。その代わり価格が高く、板厚の精度は押出板より悪いと説明されています。
つまり、安さと加工のしやすさを優先するなら押出板、彫刻や高級感、薬品への強さを求めるなら高くてもキャスト板、という選び方になります。単に透明な板がほしいだけなら、押出板で足りる場面が多いはずです。
通販とホームセンター通販の価格を比べる
専門通販の押出板と、ホームセンター系の通販価格を、同じ300×450mmで比べてみます。専門通販のアクリルざんまいは2mm厚が720円、3mm厚が991円、5mm厚が1,571円です。オービターの3mm厚は1,047円(税込)でした。
ホームセンター系の価格は、通販価格を整理した解説記事(pickup117、二次情報)で確認しました。カインズ公式通販のアクリルキャスト板・透明は、300×450mmで2mm厚が1,680円、3mm厚が2,480円、5mm厚が3,480円と書かれています。
同じ解説記事には、コーナンeショップの価格も出ています。2mm厚は320×545mmで1,273円、545×650mmで2,326円、650×1100mmで4,086円です。3mm厚は320×545mmで1,855円、545×650mmで3,403円、650×1100mmで6,380円でした。
ここで注意したいのは、ホームセンター通販が高めに見えても、単純に割高と決めつけられない点です。カインズの例は「キャスト板」と表示されており、押出板の専門通販とは材質が違います。カットサービスの有無も違う可能性があります。
材質が同じでないものを比べても、判断の材料にはなりません。商品ページの「押出」「キャスト」の表記と、カット料金が含まれているかを、必ず見比べてください。
ホームセンターの店頭で買う場合のサイズや厚み、価格の考え方は、当サイトの別記事アクリル板はホームセンターで買える?で整理しています。店頭の価格は店舗ごとに違うため、ここでは通販表示の幅にとどめます。
カット込みで買うときの値段と追加料金
直線2カットまで無料という店が多い
必要な寸法に合わせて切ってもらう注文を、オーダーカットといいます。オービターでは、1枚の板に対して直線2カットまでが無料で、3カット以上は追加1カットにつき110円(税込)です。アクリルざんまいも、2カットまでは無料としています。
アクリルざんまいの先ほどの価格表示には、直線2カットまでの無料カットが含まれています。長方形に1辺ずつ2回切るだけなら、規格サイズより少し小さい板を、追加費用なしで手に入れられることになります。
アクリルざんまいのカット資材の最大サイズは1000×2000mmで、納期は2〜5日と書かれています。モノタロウのオーダー品の透明アクリル板(三菱ケミカル、穴あけ加工可)は1,587円〜(税込)で、出荷は5日以内と表示されていました。即日では届かないので、日程に余裕を持って注文してください。
別料金になるカットと加工
オービターでは、150mm未満の小さいカット、斜めカットなどの特殊カット、穴あけ加工は別料金です。たとえば、幅100mmの細長い板を何枚も切ってもらうつもりで注文すると、無料の範囲を外れて、思ったより高くなる可能性があります。

カット面の仕上げも見落としがちです。アクリルざんまいは、カット面の仕上げごとに価格が異なるとしています。切り口が白く濁るのが気になる人は、仕上げの有無で値段が変わることを念頭に置いてください。
また、オービターは商品ページで、樹脂は気温の変化で最大1mm程度伸縮することがあると注記しています。枠にぴったりはめる板は、ミリ単位ぎりぎりで注文せず、少し余裕を見るのが安全です。
仕上げ込みの価格帯と、モールの例
アクリリカル(看板ショップ)の透明オーダーカットは、板厚1〜5mmでカンナ(切断面を削って整える加工)と糸面取り(角を細く削る加工)が無料です。価格帯は450×300mm以内で3,630〜5,720円、600×400mm以内で4,180〜8,030円(税込)でした。上限サイズと厚みの幅をまとめた表示で、1枚ごとの価格は厚みとサイズで決まります。
Yahoo!ショッピングでは、ある出店者の押出・透明・カット無料の例で、450×600mm・3mm厚が2,290円、600×900mm・3mm厚が3,490円、450×600mm・5mm厚が3,490円、600×900mm・5mm厚が5,990円でした。モール上の価格は日々変わるため、幅を知る参考にとどめてください。
自分で切る場合の方法は、アクリル板の切り方で、穴あけはアクリル板に穴を開ける方法で説明しています。切断面を仕上げたいときは、アクリル板の切り口をきれいにする方法が参考になります。カットも穴あけも注文時に頼むか、自分でやるかで、工具代と手間まで含めた総額が変わります。
用途別に選ぶ:この用途ならこの厚み・この製法
用途ごとの厚みの目安は、出典によって幅があります。以下は複数の出典を並べたうえで、「この場合はこれ」という判断を添えます。厚みごとの価格は前の章を参照してください。

小物・フォトフレーム・フィギュアケースなら1〜4mmの押出板
ヒョーシンのブログでは、小物や名札は1〜2mmが目安です。アクリル製造元のコラムでは、フォトフレームが2〜3mm、フィギュアケースが2〜4mmとされています。トラストハウスも、1〜3mmは軽量でDIY向きで、ラベルや小型ディスプレイに向くと書いています。
この範囲なら、押出板の2〜3mmが基本です。値段は220×300mmで443〜576円ほどで、安く済みます。ケースのように接着して組む用途は、押出板が接着加工に向く点とも合っています。
棚板・ディスプレイケースなら、支える間隔で決める
ヒョーシンでは、棚板・ディスプレイケースは3〜8mmが目安で、棚板は、支える2点間の距離(スパン)が300mm以下で3〜5mm、300〜600mmで5〜8mmとしています。別の箇所には、スパンが500mmを超えて荷重が重いなら10mm以上という記述もあり、300〜500mmと300〜600mmのように区切りが少しずれています。

オーダーガラス板.comでは、ディスプレイ用の棚は透明4〜6mm、ガラスのような高級感を求める棚板なら8〜10mmです。同じ棚板でも出典によって数字が違うので、自分の棚のスパンと載せる物の重さで決めます。
たとえば、スパン400mmの棚に、重い本を並べるつもりで3mmの板を選んだとします。最初は問題なく見えても、数週間でたわみが目立ってくることがあります。
ヒョーシンによると、たわみは板厚の3乗に反比例するため、厚みを1.5倍にすると、たわみはおよそ3分の1以下になります。3mmを4.5mm相当に上げるだけでも、効果は大きいのです。軽い物を置くスパン300mm以下の棚は3〜5mm、それ以上は5〜8mm、重い物なら10mm以上を検討してください。
テーブルマットは幅で選ぶ
天板の保護に使うテーブルマットは、アクリルアイのFAQで、幅1000mm以下なら3〜5mm、幅2000mm以下なら5〜8mmが目安とされています。大きな板は、たわみやすいのに加えて重くもなるため、幅が広がるほど厚くするのが基本です。
サイズが大きくなると値段も大きく上がるので、天板の寸法に合わせたカット込みの注文を検討してください。端材を無駄にせず、必要なサイズだけを買えます。
パーテーションなら8〜10mmを軸に、軽さが要るなら枠と組み合わせる
パーテーションの厚みは、出典で少し違います。アクリル製造元のコラムとオーダーガラス板.comは8〜10mmを挙げ、トラストハウスは5〜10mm、ヒョーシンは用途に応じて5mm以上を目安としています。
アクリル製造元のコラムは、安全面を考えると8〜10mmがおすすめで、軽くしたい場合はアルミフレームと組み合わせるとよいとしています。倒れて人に当たる可能性があるので、薄い板で済ませるのは避けたほうがよいでしょう。
パーテーションは厚みが増して価格も上がるため、大きな板をカット込みで買う場合は、見積もり段階で厚みごとの総額を比べてください。10mm以上の板は押出板の最大厚みに近いので、白・黒を選ぶ場合は、押出で作れる厚みが10mmまでである点にも注意が必要です。
値段を抑えて買うための判断順序
買い方を決めるときは、まず用途から厚みを決めます。次に、彫刻や薬品への強さ、高級感が必要かどうかで、押出板かキャスト板かを選びます。特にこだわりがなければ押出板で足ります。

そのうえで、必要な寸法に近い規格サイズを選ぶか、カット込みで注文するかを比べます。直線2カット以内で済むなら、追加料金がかからない店を選べます。150mm未満の小さなカットや斜めカット、穴あけが必要なら、別料金を含めた総額で比べてください。
最後に、送料や手数料が別にかかる場合があるので、合計金額で比較します。1枚あたりは安くても、送料が上乗せされると、近い価格のホームセンター通販と逆転することもあります。
迷ったときは、小物・フォトフレームなら押出の2〜3mm、棚板ならスパンに合わせて3〜8mm、テーブルマットなら幅に合わせて3〜8mm、パーテーションなら8〜10mmを基準にしてください。この基準に沿って、押出板の通販価格から探し始めるのが、無駄が少なく確実な進め方です。
